中小企業や個人事業主を中心として、ネットバンクでの口座開設を行うケースが増えています。ネットバンクではインターネットでの申込みが必須であるものの、最短2週間程度で開設ができるといったメリットがあります。また、ネットバンクならではの特徴として、平日休日関係なく24時間、振込などの取引ができるため、時間の制約なしに利用できる点が魅力的です。また、店舗運営型の金融機関とは異なり、口座の開設及び月ごとの利用料といった費用が一切かからないメリットがあります。 加えて、取引ごとにかかる振込手数料などが割安に設定されている点も、ネットバンクでの法人口座開設のメリットと言えます。金融機関での法人口座を開設した場合と比較して、振込手数料が6割も安いケースも存在します。さらに、口座開設時に選べる普通預金や定期預金等の金利も、金融機関より高く設定されているといった特徴があります。高金利で設定されているネットバンクで法人口座を開設すれば、口座預金に入ってくる利子も高くなるため、経営面においてプラスに働くでしょう。 このようなメリットがあるため、口座開設にかかるコストを抑えたい、規模の小さな事業主にとっては、ネットバンクが選ばれる傾向にあります。
ネットバンクの課題としては、店舗運営型の金融機関と比較して、知名度の点で劣るという現状があります。ネットバンクに法人口座を開設すると、会社運営やコストの面で多くのメリットを受けられます。しかし、主要取引銀行に、都市銀行など知名度の高い金融機関の名前があれば、会社における信頼度が高くなるといった現実もあります。そういった点を考慮した場合、他の金融機関から融資を受けにくくなるという課題も残っているのです。地方銀行や信用金庫といった金融機関に法人口座を開設しておくと、事業拡大など多くの場面で、融資を受けやすくなります。 ネットバンクは原則として、国庫金および公金を取り扱うための金融機関とは位置づけられていない点を、頭に入れておく必要があるでしょう。具体的には、確定申告時の国税還付や、雇用保険の振込先として、ネットバンクの法人口座を指定できないといった制限があります。法人である以上、社会保険料や雇用保険の支払いも行う必要があるため、地方銀行などの法人口座も開設しておくと、税金の面で困らなくなります。ただし、都市銀行などの金融機関によって併設されているネットバンクの場合は、税金関係の支払いや受け取りが可能です。 このように、ネットバンクでの法人口座開設には、解決しなければならない多くの課題があります。